にんじんには素晴しい効能があります。
スーパーで安く手に入る手軽さから、いろいろな料理に大活躍するにんじんですが、その栄養と効果をご存知でしょうか。
にんじんについて、効果的な摂取方法なども合わせてご紹介いたします。
にんじんがすごい!
まず、にんじんの歴史についてですが、にんじんの原産地はアフガニスタンあたりだといわれています。
インドから西へふたつ隣の国です。
首都カブールは北緯35度にありますから東京と同じ緯度にあります。
気候は雨季、乾季とありますが、気温が30度から40度で冬は積雪もあるということです。
春には花も咲きます。
つまり日本の気候に少し似ているのです。
日本で一年中にんじんが収穫できるのは、原産地と気候的が多少似ているからかもしれませんね。
にんじんは13世紀にはヨーロッパで食されていたそうです。
日本に来たのは17世紀頃ということですが、経路によりにんじんは種類が違っています。
私たちがスーパーでよく目にするにんじんは、ちょっとオレンジがかった色の「西洋にんじん」があります。
これは、ヨーロッパからアメリカに渡り日本に伝わったものです。
15世紀にオランダで品種改良されたものだそうです。
年末におせち料理のためにスーパーで出回る、濃い赤色のにんじんは「金時にんじん」といい、中国経由で伝わったものといわれます。
他にもサラダ用にフルーティな味になるように品種改良されたものなどや、黄にんじん、沖縄の「島にんじん」などもあります。
いずれの種類もそれぞれ味の違いや栄養の量も違っています。
にんじんの効能
にんじんにはたくさんの栄養素が含まれます。
100g の中に含まれる主な栄養素は次のようなものです。
・エネルギー…37kcal
・ナトリウム…25mg
・カリウム…270mg
・カルシウム…27mg
・マグネシウム…9mg
・リン…24mg
・ビタミンA(カロテン)…8,200μg
・葉酸…23μg
・植物繊維…2.5g
その他、ビタミンKやBなどのビタミン類が小量ずつですが含まれています。
中でも大きいものではカリウム、カロテンです。
カロテンは後ほどくわしくご紹介しますが、カリウムは体内で塩分のナトリウムと結びつき、排出してくれますので塩分の摂りすぎに効果があります。
また、にんじんの種類で若干栄養価が異なるようです。
普通に出回っている西洋にんじんがもっともカロチンが多く含まれています。
また金時にんじんはカロチン含有量は西洋にんじんの半分ほどですが、甘くて野菜臭さが少なくおいしいのでたくさん摂取できます。
β(ベータ)カロチンとは
ビタミンAは動物性のレチノールのことをいいます。
しかし、植物にはプロビタミンAというものが含まれています。
ビタミンAとなる前の状態のもので、体内で3分の1がビタミンA同様の働きをし残りがカロチンとしての栄養となります。
これはカロチノイドという色素のことで、その中のβカロチンが注目されている成分です。
ビタミンAは蓄積されるため摂取し過ぎは問題となりますが、カロチンはその心配がないため気兼ねなく摂取できるという利点があります。
βカロチンが注目される理由は、「抗酸化作用」という力が強いことが挙げられます。
人間の身体は、病原菌が体内に入ってきたときに防御するしくみがあります。
活性酸素というものがその役目をします。
それは白血球の中でつくられ、異物を攻撃する役目を担うのですが、この活性酸素は必要以上にたくさん発生することがあります。
原因はいろいろありますが、喫煙や化学物質の摂取などがいわれています。
活性酸素が増えると、体に過酸化資質を作り出す、細胞を酸化させる(いわゆる錆び)ことで老化したり、動脈硬化、がんなどさまざまな生活習慣病になります。
この増えすぎた活性酸素を分解するのに役立つものがβカロチンです。
酸化を防ぎ、免疫を増強する働きがあるのです。
効果的に摂る方法
◆摂取量
1日にどれだけのβカロチンを摂取するのが望ましいのでしょうか。
厚生労働省によりますと、緑黄色野菜を120g以上で、緑黄色野菜100gにカロテンが600μg以上含まれる量がよいということです。
また、ガンの予防では1日に15mgの摂取がよいといわれていますが、にんじん100gには7.3mgのβカロチンが含まれるということなので、半分が補えます。
また、βカロチンは一種類ではなくいろいろな野菜から摂取することが効果的だという研究結果があります。
βカロチンを多く含む緑黄色野菜は下記のようなものがあります。
モロヘイヤ、ほうれん草、かぼちゃ、小松菜、春菊、パセリ、にら、三つ葉、大根の葉、アスパラ、いんげんまめ、オクラ、かぶの葉、ししとうがらし、しそ、チンゲン菜、葉ネギ、ブロッコリーなど
◆調理方法
βカロチンは熱に強いことが知られています。
ほうれん草や小松菜などは、おひたしなどにするとたくさんの量が摂取できます。
にんじんではどうしたら良いのでしょう。
実は、βカロチンは油にとけるという性質があります。
油の中に溶け込み、体内での吸収率をよくするという性質を利用する調理方法がおすすめです。
つまり、にんじんの油いためがよい調理法といえます。
また、βカロチンは生のままでは消化吸収の点ではあまりよくありません。
しかし、たくさん摂取してもレチノール(動物性ビタミンA)のように過剰摂取を気にせずによいので、「もみじおろし」や「生ジュース」としてもよいでしょう。
にんじんを食べるには?
にんじんの料理をする前に、おいしいにんじんを選ぶことから始めましょう。
◆にんじんを選ぶ
にんじんの料理はたくさんあります。
昨今では品種改良で、にんじんは野菜臭くなくなり甘みが増しておいしくなりました。
新鮮でおいしいにんじんを選ぶ方法ですが、質のよいものは色が鮮やかで表面がなめらかです。
葉を切り落とした部分の切り口が小さい方が甘い部分が多いといえます。
逆に避けたいものとして、葉に近い部分側が緑色のものや、にんじんの色が鮮やかでない、黒ずんでいるものがあります。
日焼けや鮮度が悪いという理由から避けた方がよいでしょう。
保管方法ですが、買ってきたにんじんは袋から出して水分をふきとったあと、新聞紙などで包んで5~10度くらいの涼しい場所に保管して下さい。
高温多湿を避けるためです。
葉の方を上に向けて立てることがポイントです。
泥のついたにんじんは泥を落さずにそのまま乾燥させてから同様の方法で保管してください。
新聞紙に包むのは、野菜が呼吸できるようにという理由です。
ビニールの使用は野菜が早く傷んでしまうことになるのです。
◆にんじんの調理
◎にんじんジュース
オーソドックスなにんじんの調理としてジュースは大量に簡単に摂取しやすいのでお勧めです。
βカロチンは抗酸化作用が強いということをお伝えしましたが、ビタミンCやEを入れて更に強化することができます。
ジュースにする場合はりんごやオレンジ、レモンなどの果物類と合わせると一層おいしくいただけます。
にんじんは無農薬の場合は皮のまま、ジューサーにかけることをお勧めします。
皮の部分は特に栄養素がたくさん集まっているということです。
できれば作り置きをするのではなく一度に飲む量だけ作りましょう。
毎回作りたてを飲む方がジュースを酸化させないためにも良いようです。
☆赤い色素ジュース
トマトやパプリカ、赤ピーマンなどもにんじんと合います。
赤い色素はリコピンですので、更に抗酸化作用が高まります。
☆ミックスジュース
オレンジ、グレープフルーツ、キャベツ、小松菜などの野菜を入れると更に健康的なジュースになります。
色は少し濁りますが野菜不足も補えますし、お通じにも最適です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
にんじんには、βカロチンという老化や病気の元を防御する成分が多量にふくまれています。
抗酸化作用が強い、熱に強い、油と合わせて吸収しやすくなるというポイントをぜひ覚えておいてください。
毎日の料理ににんじんを摂り入れ、病気にならないからだ作りを目指しましょう。
この記事が何かのお役にたてれば幸いです。