悲しい気分の時にどんな音楽を聴きますか?元気になるような勢いの良い曲でしょうか、それとも涙を誘うような悲しい曲でしょうか。実は、心理学的には「泣けるような音楽を聴く」のが良いそうです。そこで、今回は悲しい、切ない曲をたくさんご用意しました。それぞれ名曲ですので、じっくり泣けます!
とっておきのレクイエム
レクイエムというのは、「死者のためのミサ曲」です。つまり葬儀の際に教会で演奏することを目的に作曲されています。悲しい曲ということでは、ダントツに悲しく胸に迫ってきます。
◆モーツァルト作曲の「レクイエム」
レクイエムはいろいろな作曲家が書いていますが、代表的で最も有名なものはモーツァルトの作品です。モーツァルトの最後の作品であり、病の中で必死に書いたのですが完成に至りませんでした。病の床で、弟子のジュスマイヤーという人に、曲の残りを作るために細かく指示して亡くなった、ということからも迫真に迫る音楽になったことはいうまでもありません。
◆フォーレ作曲の「レクイエム」
フォーレは、フランスのパリ音楽院で院長であった人ですがピアノ曲や室内楽、歌曲など多数の作品を残しています。レクイエムは中でも傑作で、全体は30分ほどの曲ですが曲の出始めから「ズン」とお腹の底に響き渡るオーケストラの全楽器の音だけで心をつかまれます。しかし、全曲を聴き終わる頃には悲しみは去り、天国へと浄化されたすっきりした気分になるでしょう。
◆サン・サーンス作曲の「レクイエム」から「神の子羊(Agnus dei)」
サン・サーンスはフランスの作曲家です。「動物の謝肉祭」の「白鳥」は学校の鑑賞曲にもなっています。このレクイエムは、この「神の子羊」アニュス・デイという部分が映画などで使用されることもある有名な曲です。始まりの部分だけで、「何かが起こった」劇的な雰囲気が心を揺さぶります。
題名からして悲しい「悲歌」
悲歌と訳しますが、エレジーのことです。題名だけでどのような雰囲気を持つ曲かがわかりますので、いろいろな作曲家の「エレジー」を聴いた中で、悲しく美しいものを選びました。
◆フォーレ作曲の「悲歌」
フォーレは上でご紹介しましたが、レクイエムなど、悲しい曲にかけては天才的な作曲家かもしれません。ホロリとした感傷を通り越し、悲しみは抑えられずに鼻、目、脳にかけてツーンと針のような感情が突き抜けます。
◆ラフマニノフ作曲の「悲歌」
ラフマニノフはロシア出身で、後に海外に亡命を余儀なくされた作曲家です。アメリカから遠いロシアを想い、陰鬱で湿度の高い雰囲気の曲を多数書いています。しかし、後期ロマン派の重厚な甘いメロディーは当時から女性たちの心をつかんできました。中でもピアノ協奏曲第二番はロシアの土の香りを感じる印象的なリズムで、1度聴くと忘れられない名曲です。このエレジーは、作品番号3であり、まだロシア国内にいたころの作品です。悲しみは最後の部分に一気に炸裂します。
◆グレツキ作曲の「悲歌のシンフォニー」から第二楽章
グレツキという名前をあまり知らないという人もいると思いますが、ポーランドの近代の作曲家です。この曲は第二次世界大戦でユダヤ人の収容所、アウシュヴィッツである少女が壁に書き残した詩を題材に作曲されています。悲痛な叫びは、「壮大な音楽」にはならず女性ソプラノの歌声が胸をえぐります。「お母様、どうぞ泣かないでください」から始まるフレーズは有名です。発表当時欧米で30万枚を越えるヒットとなった最大級の悲しい曲です。
◆ヴィラ・ロボス作曲の「悲しみの歌」
ヴィラ・ロボスはブラジルの作曲家です。南国の熱く情熱的な音楽をたくさん書いています。代表曲は「ブラジル風バッハ」などです。ギター曲やピアノ曲など多数作品を残した、ブラジルの国を代表する作曲家のひとりです。この「トリストローザ」「悲しみの歌」は3拍子の親しみの持てるメロディーが印象的です。
◆シベリウス作曲の「哀しみのワルツ」
シベリウスはフィンランドの作曲家です。代表作には「フィンランディア」があります。管弦楽、歌曲、協奏曲、ピアノ曲、劇音楽など多数の作品をこの世に送り出しています。この哀しみのワルツは、5,6分の短い曲ですが優雅なワルツのリズムに乗って静かに語りかける、「慰めのワルツ」のようです。
その他おすすめの泣ける曲
「レクイエム」や「悲しい歌」のような「お墨付き」はないものの、情感あふれ涙をさそう曲はずいぶんたくさんあります。とてもご紹介しきれないのですが、中でも有名なもので現在も繰り返し映画などで使用されている曲をごしょうかいします。
◆ラフマニノフ作曲の「ヴォカリーズ」
ラフマニノフは、曲風が全体的に重く、「重厚な和音」が特徴的で短調の曲を多く書いています。ラフマニノフは元々ピアニストですが、このヴォカリーズという曲は歌曲として作られました。しかし、いろいろな楽器用に編曲され人気が高い曲です。ヴォカリーズは「歌詞がない歌」という意味で、母音で歌う「人間の声を楽器として表現する」ものです。美しい声は、さらに心に迫り来るものがあります。
◆フォーレ作曲の「夢のあとに」
悲しいメロディーならやはりフォーレの出番かもしれません。この「夢のあとに」は題名から想像できない「せつなさ」が詰まった曲です。エレジーと並び、人気が高くいろいろな楽器で演奏されています。悲劇的要素と希望の光が交互に現れ、心がゆらぎます。
◆スクリャービン作曲の「エチュード 作品2の1」
スクリャービンはラフマニノフと同期のロシアの作曲家です。神秘主義を唱えたことなどから旧ソ連時代にはその評価が変化していたようです。後期ロマン派の作曲家で「コサックのショパン」と呼ばれていたそうですが、作品の初期の頃は甘いメロディの切ない雰囲気のものが多くあります。このエチュード作品2の1は、彼がまだ14歳ころの作品ですが完成度の高さと美しいメロディーで人気があります。ピアニストの巨匠ホロヴィッツが好んでアンコールに取り上げていたものです。
◆バーバー作曲の「弦楽のためのアダージョ」
バーバーはアメリカを代表する作曲家です。近代の作曲家ですが作風は後期ロマン派の雰囲気を持ち、重厚なロシアの作曲家の作品の印象です。作品は、管弦楽、室内楽、劇音楽、歌曲、ピアノ曲など多数ありますが、この弦楽のためのアダージョが代表作といわれています。静かな始まりは、徐々にクレッシェンドし後半に向けて感情は頂点に達します。映画「プラトーン」に使用されたことで更に人気が高まりました。
◆パガニーニ作曲の「愛しい人よ」
パガニーニはショパンと同時期のロマン派のヴァイオリニスト兼作曲家です。優れた技巧の持ち主で、ピアニストで作曲家であったリスト同様に、超絶技巧を駆使した作品を多数残しています。その中から、映画「愛と狂気のヴァイオリニスト」の主題歌にもなった「ヴァイオリン協奏曲第四番から第二楽章」をご紹介します。"Io Ti Penso Amore" は邦訳で「私の愛しい人よ」となっています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。クラシックは苦手と感じる人であっても、こういった悲しく胸に迫ってくる音楽はどなたにも共感できるのではないでしょうか。悲しいときに切ない曲を聴き、押し殺していた感情を吐き出すことは精神的にもとても良いそうです。
逆に明るい元気な曲で無理やりに自分の気持ちを押さえつけてしまうと、ストレスになり自律神経失調症などという病気にもなるかもしれません。上手に自分の感情をコントロールし、つらいときには「よくがんばった、つらいね」と自分を慰めてあげることも大切なようです。そのあとで、「元気を出してね」と前を向くことをどうぞお忘れなく。
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