近年、化学調味料を使ったものを食べると健康被害が引き起こされると騒がれていますが、これはどのような点で問題視されているのでしょうか?
実は化学調味料は我々の食生活に溢れかえっているものであり、完全に取り去る事は不可能なのです。
そのような状況ではありますが、引き起こされる可能性がある健康被害を的確に理解し、摂り過ぎに注意する必要がある調味料だと言えます。
この記事では化学調味料と呼ばれる調味料の分類・引き起こされる可能性のある健康被害・それに対する対策を中心に、私達にも出来る事を御紹介しています。
さっと読める目次
化学調味料とは何か?
化学調味料とは…別名「うま味調味料」とも呼ばれる食品添加物の一種であり、化学的に合成され作られたものを指します。
食べ物を美味しく食べるために、人工的に強い旨味を作り出したものなので、素材そのものの味よりも調味料の味が先行してしまう傾向にあるそうです。
化学調味料の種類と表示は?
調味料に使用される食品添加物は以下の4種類が挙げられ、表示にはそれぞれのグループ名を記載する事になっています。
裏面表示の際には、調味料(種類名)という表記をしますが、複数の化学調味料が使用されている場合は、一般的に調味料(アミノ酸等)という表記になります。
これはアミノ酸以外の化学調味料も複合して含まれている事を示しています。
しかしながら複数の化学調味料を使用する場合に、調味料(アミノ酸、核酸)のように物質名を具体的に記載している場合もあるそうです。
アミノ酸
調味料(アミノ酸)と記載される種類の添加物を指します。
厚生労働省が定める指定添加物リスト(規則別第一)によって指定された21物質・もしくは既存添加物名簿収載品目リストにおいて用途の部分に調味料と記載されている物質について、あくまで調味料の目的で用いた時に表示されます。
代表的なアミノ酸系調味料としては、グルタミン酸ナトリウムが挙げられこんぶの旨味成分を人工的に作り出したものです。
調味料として馴染み深い味の素についても、およそ98%近くがグルタミン酸ナトリウムで構成されていると言う事実があります。
有機酸
調味料(有機酸)と記載される種類の添加物を指します。
指定添加物リスト(規則別第一)によって指定された17物質を、調味料の目的で用いた時に表示されます。
代表的な有機酸系調味料としては、コハク酸ナトリウムが挙げられしじみやあさりのような貝類独特の旨味成分を、人工的に作り出したものです。
無機塩
調味料(無機塩)と記載される種類の添加物を指します。
指定添加物リスト(規則別第一)によって指定された8物質、天然系の既存添加物2種、ホエイソルトという一般飲食物添加物を、調味料の目的で用いた時に表示されます。
塩化ナトリウム、すなわち食塩の過剰摂取は塩分の摂り過ぎに繋がる事・生命の維持には適度の無機塩の摂取が必要である事から、このような調味料が使用されるようになったと言う側面もあるようです。
核酸
調味料(核酸)と記載される種類の添加物を指します。
指定添加物リスト(規則別第一)によって指定された6物質を、調味料の目的で用いた時に表示されます。
代表的な核酸系調味料としては、イノシン酸ナトリウム・グアニル酸ナトリウムなどが挙げられ、にぼし・かつおぶしの旨味成分を人工的に作り出したものです。
ヤマサ醤油が販売している「フレーブ」という旨味調味料については、アミノ酸系のグルタミン酸ナトリウム以外にも、これら核酸系調味料であるイノシン酸ナトリウム等が配合され、こんぶ・しいたけ・かつおぶしを合わせた配合調味料と記載があります。
化学調味料不使用の商品に使用される、旨味調味料の秘密
近年よく謳われる「化学調味料不使用」の表示については、上記記載の化学調味料を含んでいないという事を表しており、全ての食品添加物を含んでいないという訳ではありません。
「食品添加物不使用」ならば全ての食品添加物を含んでいない事になります。
とは言っても、人工的な旨味成分を一切使わない調味料を用いた場合にも美味しさを感じる事は出来る訳で、果たしてどのような成分が使用されている事が多いのでしょうか?
次に、食品添加物を用いないで旨味を引き出している成分について、御紹介いたします。
たんぱく加水分解物
アミノ酸混合物でありながら食品添加物には指定されておらず、いわゆる食品の1つとして扱われている旨味調味料の1つです。
その名の通りタンパク質を分解して得られたアミノ酸の事を指しますが、化学調味料無添加としている食材にも食品の1つとして使用されている事があります。
分解させる方法によっては発癌性を持つ物質が少量生成されるという話もありますが、世界的に行なわれた世界添加物専門会議において厳密な基準が定められ、使用の安全性は確保されるようになりました。
酵母エキス
酵母エキスについても現在は食品添加物としては指定されておらず、元々は捨てるはずだった使用済みの酵母など用いて、酸や酵素を加える事で人工的にアミノ酸を作り出しています。
たんぱく加水分解物同様、食品として扱われ調味料とは異なった形で裏面表示されています。
酵母を元にして抽出したものなので、それ自体に毒性は認められません。
しかし製造過程で除去出来なかった不純物が多く含まれている可能性がある事が問題視されており、十分に管理された製造工場で製造されているのかと安全性を問う声もあります。
化学調味料による健康被害は?
注意すべき食べ方のアドバイス
化学調味料、それに代わる旨味調味料について詳しく御紹介してきましたが、具体的に過剰摂取しすぎた場合はどのような健康被害が予想されるのでしょうか?
私たちの生活に化学調味料が溢れている現代において、どのような食べ方をしていくべきなのか…具体的にアドバイスとして記載いたします。
海外において「中華料理店症候群」という症状が出た過去があり
過去に中華料理を食べた人の何人かが、頭痛・強烈な喉の渇き・顔の痺れ・体の紅潮を訴えた事があるそうです。
その後使用された調味料について繰り返し試験を行なったそうですが、通常の摂取では人体への影響は認められないという結論に至りました。
勿論「通常の摂取」の話をしており、過剰な摂取をした場合はこのような症状が現れる方も稀にいらっしゃるようです。
これは塩や砂糖といった他の調味料にも言える事で、あくまで過剰にした事で個人差によって症状が出たに過ぎない話だとされています。
化学調味料ばかり食べると、味覚障害を引き起こす?
美味しいものを沢山食べたいがために、つい外食をした際は味が濃いものを沢山食べてしまう方も多いのではないでしょうか。
勿論それが悪い事である訳ではなく、気分リフレッシュさせるためにそういう日があっても良いでしょう。
しかし、外食・スナック菓子・ジャンクフードといった食品には、上記で紹介したような人工的に合成された調味料が多量に使用されている事が多いため、それを認識して生活する事が大切です。
あまり味が濃いものばかり食べていると、普通の味付けだと物足りなくなる…それを味覚障害という用語で表現されているのです。
妊婦さんは特に注意が必要!
常識の範囲内で摂取した化学調味料は、体内の代謝により消費されますので蓄積される事はありません。
しかしこれも過剰に摂取した場合、お腹の赤ちゃんにまで成分が蓄積し悪影響が出ると言われているのです。
そのため、なるべく外食やコンビニ弁当は避け、自炊をする方が安心だと言われる事が多いのです。
取り入れた化学調味料の代謝を促すために、適度な運動をするのも効果的だと言えます。
全部が全部自炊というのは大変ですが薄味を心がけて、特に食べ物に敏感なお子さんにはなるべく添加物が少ないものを取り入れると良いでしょう。
化学調味料が痛風の原因となることも…!
化学調味料には、痛風の原因になるプリン体の原料となるもの・結果的に尿酸として代謝されるものがある事から、尿酸値が高くなり生化学的にも痛風が引き起こされる一つの原因だと指摘されています。
プリン体の多い物を摂らないようにと気を付けているのに良くならない方の中に、特定の化学調味料を好んで使用していた…という報告が過去にあったそうです。
まとめ
食品添加物に溢れる現代、美味しいものを食べたいが故に外食で味の濃いものばかり食べてしまう事も多いでしょう。
しかし美味しさを追求するあまり、味の濃いものばかり食べ過ぎるとさまざまな健康被害を引き起こす事があるのです。
病院に入院した時の食事の味が薄く感じるのは、単に健康食を意識しているだけでなく、こういった化学調味料を極力使用しないように調理されているからです。
みなさんも定期的に自炊するなどして、自分の健康の事を少しずつ考えてみませんか?