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フードバンクとは
皆さんは、「フードバンク」というのをご存知ですか?何らかの理由で、まだ食べられるのに処分されてしまう食べ物を、食糧を必要としている施設や家庭などに寄付するという社会福祉活動のことを、フードバンクといいます。
直訳すると「食べ物の銀行」まさにその通りですね。アメリカなどでは、既に40年ほど前からこのフードバンクの活動がおこなわれていますが、日本で活動が開始されてあのは2000年に入ってからと、まだ全然歴史が浅いのです。
フードバンクは、余っている食べ物と、食糧に困っている人を結ぶ仲介役となり、余っている食べ物を持っている支援者と、食べ物を必要としている受益者とを繋ぐ役割をはたしているのです。
フードバンクを必要としているひとたち
飽食の時代と言われている現代の日本に、食糧支援?と聞いて、正直ピンと来ないかもしれませんが、今の日本にも、生活が苦しかったり、様々な事情で食べるものに困っている方々がいらっしゃいます。
例えば・・・
・児童養護施設
・DVシェルター
・支援施設・福祉施設
・コミュニティーセンター
・炊き出し
このような施設・団体に食糧支援を行っています。また、施設や団体のみならず、NPO法人や行政などを通じて、特に生活が苦しい母子家庭のお宅や、こども食堂などにも支援の輪が広がっています。
日本の『食品ロス』について考える
日本の食品ロスは年間約632万トン
飽食の国として名高い我が国日本。そんな日本では、年間約632万トンもの食糧が廃棄されています。これは、換算すると、1人あたり1日お茶碗1膳分の食料を廃棄していることになります。
因みに、世界中で飢餓に苦しんでいる人々へ向けた、世界の食糧支援量年間約320万トンを大きく上回る数値です。現在、日本の食糧自給率は39%程で、大半を輸入に頼っている状態にあります。「もったいない」精神を持って、もっと大切に食べ物を消費していかないといけない現状にあります。
まだ食べられるのに、処分される食糧
食品ロスは、「食べる」事に関連する様々なところから発生しています。食品メーカーや小売店などでは、メーカーなどに返品される食品や欠品を防ぐために保有し、期限を超えたものが処分されているというのが現状です。
しかし、その「期限」というのは、一般消費者が考える「消費期限」とは違います。食品業界では現在、「3分の1ルール」というものがあり、加工食品の製造日~消費期限の期間を3等分し、メーカーからの納品期限や、店頭での販売期限とするルールです。そのため、この工程で処分対象となる食品は、まだ食べられる食品たちなのです。
日本の食品ロスが、ここまで膨大な量になってしまっているのには、企業の問題だけではありません。年間の食品ロスの約半数が、一般家庭から出ているのです。賞味期限が過ぎてしまったもの、食べ残し、腐ってしまったもの・・・。
私たちの毎日の暮らしには、こうした「もったいない」に溢れています。食糧を消費することに対して、一人ひとりが、少しでも意識を変えていくことが大切です。
フードバンクを利用するには?
フードバンクを支援するには
フードバンクは、現在各地方にNPO法人などが点在し、各々で支援活動が展開されている状態です。お近くのフードバンクについては、農林水産省の公式ホームページにて検索する事が出来ます。細かい支援の申し出方法・届出などは各団体により異なりますが、ここでは、個人・法人で具体的にどのような支援が可能なのか、おおまかにご紹介していきます!
お金の寄付
個人・法人関わらず、今すぐに出来る支援方法というのは、「お金の寄付」です。こちらは、フードバンクの活動資金として利用されます。
食べ物の寄付
現在、フードバンクでは、企業や農業経営者の方などから、食べ物が寄贈されています。
フードバンクへの寄贈により、食品ロスの削減以外に、食品を処分するコストを抑えたり、一生懸命作った食べ物が、無駄になる事なく、必要としている人へ届けられることで、社員の士気向上に繋がったりと、沢山のメリットがあります。
団体によって異なる場合がありますが、個人からの食べ物寄付を受け付けている団体もあります。個人の場合は、企業などとは違って、寄付出来る食べ物の品目が大きく異なります。日持ちのする缶詰や、パスタなどが主になります。寄付をお考えの場合は、希望する団体に確認しておきましょう。
ボランティア
フードバンクでは、食べ物やお金の寄付以外に、ボランティアも募集しています。ボランティアの内容は様々で、炊き出しの準備や、家庭向けに発送する食品のパッケージ作業、事務処理等、個人の能力に合わせたボランティアで、フードバンクに貢献することができます。
フードバンクの支援を受けるには
役所へ相談してみる
食べるものにも困っているだなんて、なかなか人には言いだしにくいですが、本当に困ってしまったら、まず役所へ連絡してみると良いと思います。
インターネット等で近くのフードバンクを調べる事も出来ますが、より早く支援を受けるためには、役所へ相談した方が、早い場合もあります。インターネット等公に情報が公開されていない団体などからの支援を受けられる事が出来たり、炊き出しなどの情報も聞く事が出来ます。
フードバンクが抱える課題
認知度が低い
フードバンクが抱える大きな問題としてまず挙げられるのは、まだまだ世間での認知度が低いという事です。フードバンクに寄付されている食品は、現在の日本全体の食品ロスのほんの一部にしかすぎないそうです。まだまだ日本では、今日もまだ食べられるのに廃棄されていくもったいない食べ物が沢山あるのです。
組織が不安定
フードバンクは、農林水産省が、フードバンクプロジェクトと題して推進している社会貢献事業なのですが、現在稼働しているフードバンクの労力はほとんどがボランティアであったりと、安定した組織が備わっていないというのが現状です。これには、より多く金銭的支援、人材確保等大きな支援が求められています。
受益者のニーズ把握、公平性、優先順位
子供や高齢者など、受益者のニーズを正確に把握することで、量が多くて消費しきれなかったり等の新たな食品ロスを防ぐ他、必要とされるものを必要とする人へ届ける為、ニーズの把握も重要になってきます。
今すぐ始められる支援『フードバンク』
いかがだったでしょうか。
今のこの日本で、食べるものに困っている人たちがいるというのを知って、ショックを受けた方もいらっしゃるのではないでしょうか。一方で、今日もまだ食べられる食べ物が、沢山廃棄されていく現状があります。この現状をなんとか打開しようと始まったのがフードバンクです。食品関係の企業などでなくても、お金の寄付やボランティアなど、今日から、明日からすぐ始められることは沢山あります。ぜひ、フードバンクの活動について、知ってください。
そして、なにより問題となているのが、日本の食品ロスの問題です。食品ロスの半分は家庭から出ています。家庭から出る食品ロスというのは、賞味期限が切れてしまったり、食べ残しであったりと、私たちが意識を少し変えるだけで、減らすことができます。
必要以上のものは買わない、計画的に消費するなど、ちょっとした工夫をするだけで、食品ロスは減らせるのです。また、そういった無駄が減ることで、必然的に出費も抑えられるのです。今から、少し意識を変えて、家庭での食品ロスの削減、頑張ってみませんか?