近視や遠視といった言葉は、視力が良くないと言われたことがある人であれば、きっと一度は聞いたことがある言葉かと思います。
しかし実際、この二つの違いや原理を詳しく知っているという人はそれほど多くないのではないでしょうか。今回は私たちの大切な「目」について、近視や遠視の話題を中心に解説していきたいと思います。
さっと読める目次
近視と遠視の違いは?
近視と遠視、言葉自体は聞いたことがあっても、具体的にどのような違いがあるのかきちんと理解している人は少ないかと思います。まずはこの二つの違いを説明していきます。
近視とは
近視は、簡単に言えば近くの物ははっきりと見えるけれど遠くのものを見る時ピントが合わず、ぼやけたような見え方をする人のことです。一般的に「目が悪い」という人は、近視である場合が多いです。
遠視とは
一方遠視は、遠くのものは見えるけれど近くの物が見えにくい…という話を聞くことが多いですが、実はこれは微妙に間違った認識だったりします。遠視はいわば、度が強い眼鏡を常にかけているような状態なんです。
友達の眼鏡を借りて、度が合わずにくらくらした…という経験、ありませんか?遠視というのはそういう状態のことを指します。
遠視に関して誤解が多い理由
なぜ近くは見えやすく遠くは見えにくいという認識がされているのかというと、単純に遠視=近視の反対と考えている人が多いこと、それと遠視は軽度であれば目の調整機能が働くからだと思われます。
特に若い人は、目の奥で結んでいる焦点を調整機能で強引に手前に持ってきて、焦点を合わせることができます。しかしこれは物凄く目に負担がかかる行為であり、遠視の人は目が疲れやすかったり酷い頭痛を覚える人も少なくありません。
遠視の人で遠くは見えるから問題ない、と眼鏡やコンタクトを作っていない人もいますが、目や脳への負担を減らすためきちんと遠視用レンズを合わせてもらっておいた方がいいでしょう。特に若いうちはよくても、年を追うごとに疲れやすく感じてくることが増えるかと思います。
あなたは近視?それとも遠視?
なんだか目が見えにくいけど、自分が近視か遠視かよくわからないという方のために、簡単にできる判断の方法を教えます。あくまで一例になりますので、正確な検査は必ず専門の医療機関でしてもらってください。
近視
上記の項目でも少し述べましたが、近視は近くの焦点は合うけれど、遠くを見ると物の像がぼやけてしまう状態を指します。なので顔を近づければはっきりと見えるけれど、離れると見えづらくなる…という場合であれば恐らく近視でしょう。
遠視
遠視の判断はやや難しい部分はありますが、強度の遠視の場合だと遠くも近くも見えづらくなります。どちらも像がぼやけてしまうという場合は、遠視である可能性が高いです。また遠くはある程度見えるけれど、近くのものが見えづらい、また目が疲れるという場合も遠視かもしれません。
乱視
少し話が反れますが、これとはまた別に「乱視」というものも存在します。乱視は乱視だけが生じる人もいれば、近視や遠視と併発する人もいます。
乱視はものがブレたような見え方をすることであり、遠視や近視と異なり近くの物でも遠くの物でもぼけて見えます。物が伸びるような感じに見えたり、光などが何重にも重なって見える場合、乱視である可能性が高いです。
実は乱視はどんな人にも大なり小なり存在します。が、多少のボケは脳が調整してくれるため、日常生活に支障がない人が多いです。しかし酷い乱視になるとそれも不可能であり、結果的にこういった酷い乱視を持っている人が眼科などで「乱視があります」と言われてしまうわけです。
近視と遠視の原理
ここからは、もう少し専門的な点に踏み込んで近視と遠視についてを解説していきます。
近視や遠視は屈折率の異常が原因
まず近視と遠視はどちらも、角膜や水晶体の屈折率の異常によって起こるものです。私たちの瞳は物体をとらえて、それを角膜や水晶体を通し網膜で焦点を合わせます。
しかし角膜や水晶体が厚すぎたりといった何かしらの理由で、この焦点が網膜よりも手前、もしくは奥で結ばれてしまうと屈折異常…すなわち近視や遠視となるわけです。ちなみに網膜よりも手前で焦点を結ぶと近視に、奥で結ぶと遠視になります。
イメージとしては壁に向かってボールを投げてそれがうまく壁に当たるのが正視(正常な見え方)、壁の手前で落ちてしまうのが近視、壁にあたらず飛び越えていってしまうのが遠視といった感じです。あくまでイメージですのであしからず。
眼科で行われる不思議な検査
ちなみに眼科へ行ったことがある人は、病院で視力検査の際、赤と緑の二色と文字を見せられ、どちらの方がくっきり見えますか?と聞かれたことがあるかと思います。実はこれも立派な検査の一環であり、この時に緑の方がはっきり見える状態だと過矯正…ようするに遠視の状態ということになります。
本来遠くが見えにくく、近視用の眼鏡やコンタクトをつけているのに、この状態になるという人は、その眼鏡やコンタクトの度が強すぎるということです。少し度を下げてもらっても良いかもしれません。
近視と遠視ではコンタクトの種類も異なる
ここまで説明してきたことで何となくお分かりいただけたかもしれませんが、近視と遠視ではコンタクトの種類が全く異なります。
自分は目が悪いからコンタクトを使っているけれど、実は近視か遠視かよく知らない…という方、よろしければご自分のコンタクトレンズのパッケージをご覧ください。パッケージのどこかに「-2.50」もしくは「+2.50」といった数字が印字されているはずです(数字は人によって異なります)
この数字があなたのレンズの度数になるわけですが、数字の前にあるのがマイナス(-)である場合は近視用のレンズ、プラス(+)である場合は遠視用のレンズになります。つまりマイナスが書かれている人は近視で、プラスが書かれている人は遠視ということです。
この二つだと全く見え方や用途が異なりますので、安易に数字だけ見て購入したり、友達から使い捨てコンタクトを貰ったりしないように注意しましょう。
コンタクトを選ぶ際の注意事項
近視用レンズはほとんどのコンタクトレンズメーカーが制作していますが、遠視のレンズは制作していないメーカーや種類もあります。特に1dayは遠視レンズがない場合も多いので、レンズを選ぶ際にはご注意ください。
ちなみに前の項目でも少し触れましたが、乱視を矯正するためのコンタクトレンズは、またこの二つは全く異なるものになります。乱視用レンズは度数や乱視が入っている角度によって、レンズの選択肢が近視や遠視の物とは全く変わってきますのでご注意を。
近視や遠視の人でも老眼になる?
こちらもよく話題になる疑問ですね。元々近くが見づらい遠視の人はまだしも、本来近くは見やすいはずの近視の人がなぜ老眼になるのかという疑問は、最もなものだと思います。
老眼は残念ながら近視、遠視問わずすべての人に訪れる老化現象に一つです。そしてコンタクトや眼鏡で遠くを見えるように調整している人ほど、その症状を強く感じやすいです。
私たちは普段無意識に、遠くを見る時と近くを見る時で目のピントを切り替えながら生活しています。老眼はそのピントをあわせる目の調整力が衰え、近くにピントが合わせづらくなる状態を指します。
この調整は、遠くをよく見えるようにしている人ほど必要になるので、遠方がくっきりばっちり見えるように調整している眼鏡やコンタクトを普段つけている人は、老眼がはじまると急に手元が見えづらくなるように感じる人が多いです。
老眼鏡の役割
老眼鏡は衰えた調整力の補助をしてくれる眼鏡のことであり、このレンズにはプラスの度数が使われています。なので老眼鏡をかけて遠くを見ると、遠くは見えづらく感じることでしょう。
近視の人は老眼にならないというのは、コンタクトレンズや眼鏡の人が、レンズを外すと手元は問題なく見える人が多いことから広まった話なのだと思います。また同時に、遠視の人は老眼になるのが早い、という話も誤りです。
まとめ
近視と遠視の話題を中心に、私たちの「目」に関する話をしてきましたがいかがだったでしょうか。
最近はコンタクトレンズなどが随分手近な存在となり、とても便利になりました。しかし同時にネットや口コミなどでは、間違った知識や情報が散見しているところもよく見受けられます。
物が見えにくいなと感じたら、まずは一度眼科へ検査に行ってみてください。自分が近視なのか遠視なのか、また乱視があるかということなどをしっかりと調べてもらえますよ。