現代社会では、「速いスピード」が要求されて、個人の生活スタイルも社会のスピードに押し流されて、心の豊さやゆとりが失われています。心も体も疲弊し「ストレス社会」とも呼ばれています。

 

このようなスピード重視の社会現象に対して台頭してきたのが「スローライフ」という生活スタイルです。心の豊かさやゆとりを追求する「スローライフ」について、その意味や実現する方法などを紹介します。

 

スローライフとは?

「スローライフ(Slow Life)」とは、1986年にイタリアで起こった「スローフード(slow food)」という社会運動から派生した、ゆっくりしたライフスタイルを提案する考え方です。「スローライフ(Slow Life)」は、日本で作られた「和製英語」であり、英語の「Slow movement」や「Slow living」に相当する言葉です。

 

スローライフの潮流と背景

イタリアでの「スローライフ」運動

1,986年にイタリア進出したマクドナルドの「ファストフード」に対して、その土地の伝統的な食文化や食材を見直す「スローフード」運動が広がっていきました。やがて食文化だけを見直すのではなく、ライフスタイル全般を見直す「スローライフ(Slow movement)」運動へと発展していきます。

 

つまり「スローフード」よりも広い概念が「スローライフ」であり、「スローフード」は「スローライフ」の一部として世界各国に提唱され、拡がっていったのです。「スローフード」を含む「スローライフ(Slow movement)」運動のシンボルマークはカタツムリであり「思慮深い」や「ゆっくり」という意味を訴求しています。

 

日本における「スローライフ」運動

日本で「スローライフ(Slow Life)」という和製英語が、使われるようになったのは、2,001年頃とされています。当時の地域活性化研究所の川島正英氏やジャーナリストの筑紫哲也氏などが「スローライフ」について模索・研究していることに同調した、静岡県掛川市の榛村純一市長が「スローライフシティー」を公約に掲げて再選を果たしたことが火付け役となります。

 

その後、掛川市では、「スローライフシティー」運動の一環として「スローライフ月間」が開かれ、「スローライフのまち連合を結成しよう」というシンポジウムには、掛川市を含めて、7つの市や町が参加して、「スローライフ月間」が各地へと拡散されていったのです。

 

また川島正英氏が理事長となって設立された「スローライフ・ジャパン」のコンセプトは、「ゆっくり、ゆったり、心ゆたかに」となっています。またNPO法人の「日本スローライフ協会」のコンセプトは、「人生をゆったり、いきいきと、のんびりと、エコライフに」となっており、活動として「健康で生きがいとなるライフスタイルの追及」「スローライフに関する啓蒙」「スローフードの実践」を掲げています。

 

日本における「スローライフ」の背景

2,000年以前の高度経済成長期やバブル経済景気中には、モータリゼーションの発展による郊外化やさまざまなファストフード出店による「早くて待たずに簡単に食べられる。しかも持ち帰りもできる」という、スピードと簡便さを追求した食事スタイルやライフスタイルが拡散していきます。

 

このような結果として起こった、中心市街地の空洞化現象や地元の伝統的な食文化を軽視する傾向が反省されるようになり、地元産の農水産物を推奨する「地産地消運動」や、健康や環境を意識した「有機農産物の奨励」や「心豊かでゆっくりと過ごすライフスタイル」を提唱する動きが起きるようになったのです。

 

さらに環境問題への関心の高さも重なって、「スローライフ」とともに「スローフード」や「ロハス」などの言葉が拡散していくようになったのです。「ロハス(LOHAS)」とは、「自分の健康と持続可能な自然環境を志向するライフスタイル」のことを指し、「スローライフ」の実現にとって「スローフードとともに重要な要素となります。

 

スローライフの間違った解釈

日本においては、「スローライフ」という言葉だけが飛び交って、本来の真意とは異なって間違った解釈も氾濫しています。“ゆっくり”とか“のんびり”とかを過大解釈した「だらだらと時間を浪費する生活スタイル」は、間違った解釈となります。

 

「だらだらとした気ままな生活」は間違い

“スロー(SLOW)”には、「時間をゆったり過ごす」という意味もありますが、「目的もなく時間をだらだらと浪費する」ことではありません。ましてや仕事や家事まで、だらだらとゆっくりと行うなど論外となります。

 

仕事や家事などの必要不可欠なことは、きびきびとスピードを持って完結させ、自分にとってゆとりの持てる自由な時間を作り出すことが必要です。一日の自由な時間や休日を利用して「心豊かにゆっくり過ごす」ための時間に充当させるのが「スローライフ」なのです。つまり「スローライフ」実現のコツは、「スロー」と「ファスト」の使い分けなのです。

 

「単なる田舎暮らし」は間違い

「スローライフ」は、「田舎暮らしでしか実現できない」という考え方も間違いです。たしかに「田舎暮らし」はひとつの手段ではあっても全てではありません。「都会暮らし」であっても「スローライフ」を実現することもできるのです。

 

「スローライフ」とは、普段の日常生活の中で、社会や他人の動きに翻弄されることなく、自分の生き方を大切にして、「環境や健康を意識したゆったりした時間を過ごす」ために、今のライフスタイルを見直すことであって、「田舎暮らし」を指しているのではありません。

 

「のんびりとした仕事への転職」は間違い

「スローライフ」だからといって、すぐに「のんびりとした仕事への転職」を考えるのも間違いです。もちろん時間外労働が過酷だとか、労働条件が悪すぎるなど、「スローライフ」を実現することが不可能な状態であれは、ひとつの選択肢としては考えられます。

 

しかし転職先を間違ってしまえば生活そのものが危険となる覚悟が必要です。充実した「スローライフ」を実現するためにはそれなりの安定した収入も必要です。不安定な収入では、「心豊かなゆったりした生活」など考えることはできません。

 

スローライフの本来の意味

「スローライフ」についての明確な定義は存在していません。「スローライフ」とは、伝統的な地元産の農水産物を主体とした「スローフード」や、自分の健康と持続可能な自然環境を志向する「ロハス」を根底として取り入れた「心豊かにゆっくり過ごすライフスタイル」というのが本来の意味だと考えます。

 

スローライフの真意は「心の豊かさとゆとりの追求」

現代では何でもが「スピード重視」となって、個人の生活もこのスピードに押し流されています。もちろん、仕事や勉強などでは「スピード」は欠かせません。だからこそ『個人的な生活では、「スロー」に過ごす時間を作りましょう!』というのが「スローライフの主旨」なのです。「スロー」と「スピードとの調和の取れたバランスが重要なのです。

 

自分が生活する地域の自然環境や歴史、伝統や文化などに触れ合いながら「心の豊かさとゆとりを追求していくラフスタイルがスローライフの真意」なのです。そのためには「自然の恵みや隣人へ感謝する時間」「自分の人生を見つめ直す時間」「自分や家族の健康を考える時間」を作り出すことが必要なのです。

 

スローライフを実現する方法

「スローライフ」を実現する方法のキーワードは、「癒し(自然)」「健康」「スローフード」「ロハス」がメインであり、「地産地消」「自給自足」「貸し農園」「有機農産品」「徒歩(ウオーキング)」などがサブとなります。

 

心と体の癒しや健康を意識すること

なにもかにもが「スピード化」「ファスト化」された現代では、日常の時間に追われた生活スタイルによって、「ストレス社会」とも呼ばれています。いま何よりも大切なことは、このような「スピード化・ファスト化されたストレス社会に押し流されることのないように自分のゆとりの時間を持つ」ことです。

 

ゆとりの時間を使って、ストレスで疲れ切った心と体を癒すことが大切です。心と体を癒す方法としては「自然と触れ合う」「好きな音楽を聴く」「好きな映画を観る」「読書をする」などがあります。1週間に1回でも、近くの公園や河川敷や山野を徒歩(ウオーキング)で散策しながら、自然の景色や植物や昆虫たちと触れ合うことで、心も体も癒されて健康にも良いことは間違いありません。

 

スローフードを主体とした食生活であること

ハンバーガーやホットドッグ、フライドチキンやピザなどのいわゆる「ファストフード」の特徴は、「速い(ファスト)」「手軽・簡便」「安価」「高カロリー」であることです。しかし米国などでは、『健康への関心が薄い貧困層ほど「ファストフード」の依存率が高く、同時に貧困層ほど肥満になりやすい』との研究・報告がされています。

 

このような背景のもとで提唱されたのが「スローフード」なのです。その地域の伝統的な食文化や食材を見直す運動で、「伝統的な食事」「素朴でしっかりした食材」「健康に良い食材」「有機栽培農産品」などがキーワードとなります。

 

日本では『食事ぐらいはゆっくり味わって食べよう!』という感覚もあるようなので「ゆっくり食べる習慣」も大切です。さらにスローフードのキーワードの中から、スローフードに該当するストランで食事することや家庭調理を心掛ける事も大切です。

 

ロハスを重視したライフスタイルであること

既述したように、「ロハス(LOHAS)」とは、「自分の健康と持続可能な自然環境を志向するライフスタイル」のことを指しており、「スローライフ」の根底を形成する重要な要素となります。

 

例えば、近郊の「貸し農園」を借りて野菜などの「自給自足」を図ることや、「有機農産品」を活用した家庭調理や「地産地消」を積極的に行うなども「スローライフ」を実現するための重要な活動となります。

 

まとめ

「スローライフ」とは、「心の豊かさや健康を追求するライフスタイル」であり、「スローフード」や「ロハス」を、時間をかけてゆっくりと今の生活スタイルの中に取り込んでいくことに真意があります。速いスピードで動いていく日常生活を見直して、「スローライフな空間」を創り出すことで、自然環境や伝統文化などと調和のとれた“豊かな心”を回復させることができます。

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ランクラボ編集部

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