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脂肪肝の原因はアルコールだけじゃない!40代以降に多い脂肪肝の怖さ

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巷でよく聞く「脂肪肝」という言葉。しかし脂肪肝にはいろいろな種類があることをご存知でしたか?「脂肪肝という症状は良性でそれほど重症化しない」という言葉も目にしますが、それは栄養の取りすぎによる「単純性脂肪肝」の場合です。脂肪肝が進行して重症化する「非アルコール性脂肪肝炎」(NASH)や、毎日大量に習慣的に飲酒することによって発症する「アルコール性脂肪肝」、これらは放置すれば肝硬変などの命に関わる病気へと進行します。本記事では40代以降の男性に多い、アルコール性脂肪肝についてご紹介し、さらに非アルコール性脂肪肝(NAFLD)についても詳しく書きます。

 

脂肪肝には種類がある?

脂肪肝にはどのような種類があるのでしょうか。よく話題に上がるのが、40代以降の男性に多い、過剰なアルコール摂取を日常的に行うことによって起こるアルコール性脂肪肝です。これは脂肪肝の中で7割から8割を占めていると言われます。さらに近年医学界で注目を浴びているのが、肥満と強い相関性が指摘される非アルコール性脂肪肝(NAFLD)の1つ、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)です。

 

実は長年、肥満が原因の脂肪肝(非アルコール性脂肪肝NAFLD)は良性が多く、軽い食事療法や運動療法で改善するものであり、それほど問題にならないとされていたのですが、ごく稀にこうした患者のうち1~2割ほどの人に症状が進行して、肝硬変や肝癌に至るケースがあることが分かってきました。この症状は悪性であり非アルコール性脂肪肝(NASH)と呼ばれ、医学界で病因の解明が急がれてきました。そしてここ数年、ようやくどのような過程を経て、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に至るのか明らかになってきました。しかしまだ病因と発生過程についてはこれから研究が進む分野と言えます。

 

もう1つ要注意な脂肪肝として、妊娠後期に発症する急性妊娠脂肪肝があげられます。肝臓に急激なスピードで脂肪が溜ることにより、肝障害が起こり、これが様々な合併症を引き起こすため注意と早期の対処が必要です。

 

下記に脂肪肝の種類と系統図を簡単に記しています。

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(危険度が高いほど赤色に近くなります)

 

 

脂肪肝の種類を見分ける一般的な診断

脂肪肝や軽度の肝障害は自覚がないことが多く、多くは糖尿病、高血圧、高脂血症等他の病気の検診から人間ドックで検査、そして人間ドックの超音波検査によって発見されるという過程を辿ることが多いようです。

 

これらの症状が発見された場合は、まずウィルス性肝疾患の疑いを取り除くため、HBs抗原,HCV抗体、各種自己抗体など検査を行います。ウィルス性肝疾患の検査結果が陰性ならさらにアルコール脂肪肝かそうでないかのチェックを行います。

 

習慣的に毎日日本酒で3合以上飲んでいる飲酒家であれば、血液検査を行い肝臓の異常を調べるGOT(AST)、GPT(ALT)の値を調べます。GOT(AST)は肝臓に多く存在し、異常があれば値が増加します。一方GPT(ALT)は肝細胞が変性や壊死を起こした際、増えることが多くこれも目安になります。その他にもr-GTP、TB、ALP、WBCなどを調べることも。アルコール性脂肪肝の場合は本人からのヒアリングが重視されますが、重症であればあるほどアルコール依存症を患わっていることも多く、本人が過少申告をするケースが少なからずあります。医師の判断で家族からのヒアリングも行われることも。またエコー検査、CT検査、肝シンチグラフィー等の画像検査も行います。

 

ヒアリング等でアルコールを全く飲まない人が脂肪肝の疑いがある場合は、非アルコール性脂肪肝になります。この場合、単純性脂肪肝という肥満者に多い、脂肪肝のケースが大半です。したがって生活習慣の改善等が医師から指示されることが多いのですが、この中で1~2割程度の人が進行性の非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に罹っているケースがあり、放置すれば危険なため、疑いがある場合は血液検査や画像検査を行い、慎重に診断することが増えています。

 

しかし診断は難しく、最終的に非アルコール性脂肪肝炎(NASH)かどうかは、現在のところ実際に肝細胞を採取して顕微鏡で目視確認検査する生肝検がもっとも確実と言われています。ただし患者への負担が大きい検査のため(検査の場合は入院)そう何度も行われる検査ではありません。

 

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アルコール性脂肪肝

40代の男性にもっとも多いのがこのアルコール性脂肪肝です。女性は少ないのですが、女性の場合は男性に比べて体が小さいこともあり、肝臓で処理できるアルコール分解量が少なく、短期間の飲酒で重症化することが多いので注意が必要です。習慣的な飲酒が原因のため、断酒によって好転するのも特徴です。肝臓が分解できる量を超えて毎日飲酒を続けると肝臓にダメージが蓄積されていきます。

 

アルコール性肝障害には、初期のアルコール性脂肪肝と症状が進んだアルコール性脂肪肝炎、そして重症化したアルコール性肝硬変があります。

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どれだけ飲めばアルコール性脂肪肝になるのか

アルコール摂取は脂肪肝の頻度を高めると考えられていますが,少量の飲酒は脳血管疾患や糖尿病のリスクを低下させるともいわれています。毎日少量のアルコールを楽しむことはさまざまな病気のリスクを低下させますが、1回に大量に飲むと逆にリスクが跳ね上がります。

 

通常エタノール60g(清酒換算3合)以上/日が週5日以上続くとアルコール性脂肪肝を発症すると言われています。さらに毎日清酒で4合以上飲むとさらに障害が進んだアルコール性肝炎を発症し、さらに毎日清酒で5合以上飲み、それが15~20年続けば重症化し、アルコール性肝硬変を発症することが多いようです。ただし女性の場合は、10~12年程度で発症すると言われています。

 

どんな症状か

肝細胞に中性脂肪が蓄積・増加して肝腫大に至りますが、初期の肝障害は自覚症状がないことが大半です。初期の肝障害であるアルコール性脂肪肝の場合は、全肝細胞の約1/3以上に脂肪が過剰に蓄積されること以外に大きな変化はありません。最初は自覚症状もなく、症状が進み、急性の肝細胞の変性、壊死、炎症を伴うアルコール性肝炎を発症すると初めて自覚症状が出始めます。こうなると黄疸、発熱、上腹部痛、嘔吐(時に吐血)、下血が現れますので要注意です。

 

さらに重症化し肝繊維化が進行し、アルコール性肝障害になると身体に肝腫大、黄疸、くも状血管腫、手掌紅斑、腹水、脾腫が起こってきます。この身体症状が出始めればかなり重症ということになります。そして最後は肝硬変に至ります。

 

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診断方法

一般にアルコールを大量に飲んでいても、血液検査、画像検査が正常な値であれば、アルコール性脂肪肝とは言えません

 

アルコール性脂肪肝、そして症状が進んだアルコール性の肝障害かどうかの一般的な診断方法は以下の通りです。ヒアリングが最も重視されますがその他にも以下の血液検査、画像検査が行われます。

 

  1. 常習的に飲酒している(清酒換算3合を5年以上継続)
  2. 禁酒によりGOT, GPTの値が目に見えて改善
  3. 禁酒によりγ 一GTPも低下
  4. 禁酒によりエコー検査で肝臓も目に見えて縮小

 

その他、脂肪肝がアルコール性かどうかチェックするため、アルコールマーカーという検査をします。以下の結果が陽性であればアルコール性脂肪肝の疑いが濃くなります。

 

  1. 血清トランスフェリンに変化
  2. CT検査で肝容量が増加している
  3. アルコール肝細胞膜抗体の検査結果が陽性
  4. GDH/OCT比が規定以上

自覚のない初期のアルコール性脂肪肝からアルコール性の肝障害へと症状が進んでいる場合は、多臓器障害、慢性膵炎、尿病、胃炎、潰瘍、食道静脈瘤、心筋症、精神神経症状のチェックも必要となります。他の脂肪肝と違ってアルコール性脂肪肝、肝障害の場合、断酒で症状が好転するのも特徴です。

 

治療

実はアルコール性の肝障害はアルコール依存症も併発している場合が多いため、精神的な問題を抱えているケースも多く、症状が進まないうちに内科医だけでなく、精神科医や心理療法士等と連携して必要な治療に当たる方が好転するケースが多いと言えます。本人が自分のアルコール依存を認めないケースも多くご家族のサポートが重要になってきます。ご家族が本人を説得し、同伴で医療機関を受診されて、重症化した状態から初めて治療を開始するケースも珍しくありません。

 

断酒が最も重要な治療です。その他はあくまで補助的な治療と言えるでしょう。また食事は減塩が望ましいです。特に腹水の症状がみられる場合は塩分の制限が必要です。必ず主治医の指示を守りましょう。

 

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非アルコール性脂肪肝(NAFLD)

肥満と強い相関性があることで知られている非アルコール性脂肪肝(NAFLD)。肥満のある40歳以上の男性では約50%に、女性では約25%で非アルコール性脂肪肝(NAFLD)の患者がいると言われています。そのうちの10%~15%は非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を発症しており、この患者の一部は肝硬変、肝臓癌へと病状が進展していることが報告されています。女性より男性が多く、年齢が上がるにつれて発症する方が増えています。

 

非アルコール性脂肪肝(NAFLD)のうち、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と単純性脂肪肝の違いは一般に以下のように説明されます。

 

肥満に伴い肝細胞に中性脂肪が沈着して軽度の肝障害をきたすものは広く非アルコール性脂肪肝(NAFLD)と呼ばれ、肝細胞の壊死・炎症や線維化が見られた場合が非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に分類し、それらの危険な症状が見られないものは単純性脂肪肝に分類されます。一般に肥満による脂肪肝は単純性脂肪肝のことを指します。

 

 

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は非アルコール性脂肪肝(NAFLD)の重症型です。単純性脂肪肝と異なり、最悪肝硬変へ進展する疾患であり,最近では肝細胞癌の発症が報告されています。

 

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)から肝硬変への進展は5年で10~25%といわれ、5年後の生存率は70~95%とかなり危険な病気と言えます。死因は肝関連死が10~30%と言われています。日本の肝硬変の2~6%が非アルコール性脂肪肝炎(NASH)とも言われ、さらに肝硬変を発症した患者の発癌率が10%前後と通常より高いことも報告されていますが、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と肝臓癌の関係性はまだまだこれから研究が進む分野と言えます。

 

非アルコール性脂肪肝(NAFLD)から非アルコール性脂肪肝炎(NASH)へ進展に寄与する因子、またはこの病気へと進行する人に特徴的な体質や遺伝子情報、生活習慣などもまだ解明されておらず、研究が日夜なされています。

 

原因

原因ははっきりわかっていませんでしたが、最近の研究では以下の要素が原因の一部ではないかと言われています。

  • 酸化ストレス,インスリン抵抗性,エンドトキシン,アディポサイトカインやTNF-α,ミトコンドリア障害
  • 肝における鉄沈着(最近,肝の鉄沈着は内臓脂肪蓄積と相関することが知られてきました)

 

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最初に肝臓に脂肪が溜る脂肪肝が起こり、二次的にその脂肪に酸化ストレスが加わり、鉄沈着等も起こり、炎症、繊維化し、非アルコール性脂肪肝炎に発展するとの研究結果もあります。

 

どんな症状か

肝臓は肝臓には3000億個以上の肝細胞があり、一部の細胞が働かなくなってもすぐに再生します。さらに再生するまでは、他の肝細胞が補って働く機能も持っています。ダメージを受けても自覚症状がほとんどありません。しかし脂肪肝の初期症状であればたいてい糖尿病、高血圧、高脂血症等、肥満と相関する他の病気を患っており、こうした病気の検査から人間ドックでエコー検査を実施し、エコー検査によって肝臓にも脂肪肝等、軽度の障害があることが発見されるケースが大半です。

 

診断方法

非アルコール性脂肪肝(NAFLD)の診断はヒアリングや血液検査、画像検査などで比較的簡単に診断できますが、非アルコール性脂肪肝(NAFLD)ではなく、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と確定して診断 するには肝生検による組織診断が必要です。肝臓から細胞を採取する検査ですので、通常の血液検査や画像検査より身体に負担が掛かり、出血等のリスクがあるので、1日程度の検査入院が必要です。

 

治療

大多数の非アルコール性脂肪肝炎(NASH)患者は体重の減少ができないか,できても維持できないのが実情と言われています。その結果、薬物療法が必要とされますが,現在のところ、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の治療に推奨できる薬物療法は確立されていません。しかし,ビタミンC,E投与などの抗酸化療法が一般に行われているようです。最近の研究では鉄分の相関性も指摘されており、サプリメント等で鉄を取っておられる方は注意が必要です。

 

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単純性脂肪肝

ほとんどが良性でそれほど心配ないといわれていますが、生活習慣が変わらないと肝臓関連の病気へと進展する場合があります。たいていは肥満であり、いわゆるメタボリック症候群を患わっています。栄養の取りすぎや運動不足が主な原因です。

 

飲酒歴がなく腹部エコー検査で脂肪肝を指摘された方で、肥満の合併は 55.2%、高血圧は50.9%、糖尿病は36.9%、脂質異常症は 69.0%との調査データもあり、こうした病気と密接なかかわりがあることが伺われます。また摂食異常症という側面もあり、必要がある場合は心理カウンセラー等と連携することも医師によってはあります。

 

食事療法

BMIが25を超えているような男性の場合、食事療法と運動療法がメインとなります。標準体重あたり総カロリーは25~35kcalkg/日、たんぱく質は体重1kgあたり、1.0~1.5 g/日に抑え、飽和脂肪酸を抑えた食事が望ましいです。過剰な栄養 摂取などの日常生活の是正と節制が求められます。

 

5%程度の体重減少はインスリン抵抗性を改善すると言われ、10%程度の体重減少によって大きく症状が改善すると言われます。また、脂質異常症,糖尿病,高血圧などを合併している場合は、これらに対する治療も行われます。

 

運動療法

有酸素運度は筋肉・脂肪組織の代謝改善にかなり効果的です。特に単純性脂肪肝と診断されれば,肝疾患に対する積極的な薬物療法 は必要ないと考えられ,運動不足解消は食事メニューの改善と併せて重要な要素となります。

 

生活習慣病の予防改善の情報を掲載している厚生省のサイトでは、週当たり10メッツ/時以上の有酸素性運動を推奨しています。有酸素性運動に該当するものであれば、ウォーキング・自転車エルゴメータ・ジョギング・水泳など、いずれの種目でも効果に大きな差はありません。

 

メッツ

運動強度の単位で、安静時を1とした時と比較して何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を示したもの。

厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト

 

生活の中で動き方を変えるだけで消費量も変わるので時間がない方には小さなことから始められるのも良いかもしれません。厚生労働省は時間がない方のために以下のサイトで日常の動きを変えるとどれほどの運動量になるか簡単に説明しています。

 

厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト生活の中の身体活動より

例)
通勤を自転車に変える
徒歩から早歩きに変える

 

 

まとめ

脂肪肝にはたくさんに種類があり、種類によって危険度も変わってきます。どのような脂肪肝が危険か事前に知っておくことで重症化を防ぐことができ、対処法もわかってきますので、心当たりのある方は一度人間ドックの際にチェックされても良いでしょう。

またご家族にこうした症状がみられる場合は、サポートが必要になります。特にアルコール依存を併発しているアルコール性の肝障害の場合、重症化してからでは遅く、早期の対処が求められます。

 

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Lacy編集部:桜井香織

Lacy編集部:桜井香織

ビューティーライター(エディター) 美容の専門学校を卒業後、美容関連の広告代理店に就職。美容系雑誌や通販の広告業に専念するも5年で退社しビューティーライターとして活動。 様々な分野を独学で勉強し、ファッション、エステ、整形などの美容系はもちろん、演劇やゲーム、アニメなど幅広い視点でビューティーと向き合い、ユーザー目線でのライティングが得意です。 新しく発売された美容品やサプリを実際に購入し、どんな効果があり、巷の口コミは本当なのかを自分自身が納得するまで徹底調査。時にはイチユーザとして辛口の評価も。 ビューティーライターだけでなく、美容関連のイベント企画やセミナーなども積極的に行い、頼れるビューティディレクターを目指しています。 【得意ジャンル】 スキンケア/メイクアップ/ヘアケア/ダイエット/美容サプリ など美容系全般 Twitter:https://twitter.com/Ranklabo

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